スマホで仕訳一問一答 Vol.12 日商簿記3級レベル


スマホで仕訳一問一答はこれまで主に日商簿記3級検定試験の第一問を想定して作ってきました。

Vol.12まで来ましたが、重要な点は何度も繰り返し出題されていますよね?

過去問を参考にして作っていますので、これくらい繰り返せば大体傾向も掴めますし、必要な知識の準備もできて来たのではないでしょうか?

ここまでの内容を理解していただければ、まず、第一問対策は相当良いレベルまで来たと言えます。

それに加え、第一問以外の準備も同時に半分以上進んだと言えるのではないでしょうか。

なぜなら、スマホで仕訳一問一答で取り扱っている仕訳は第一問以外の問題全般に通用する内容だからです。

ただ、第二問以降は補助帳簿や試算表、精算表、損益計算書、貸借対照表などから情報を得て、実際に書き込んで行く作業が求められます。

そうした作業も試験の準備としては重要なので、その作業部分を別途ご用意するつもりです。

順調に力がついていますので、焦らず、続けて行きましょう。

では問題に移りましょう。

 

問題

下記の取引について仕訳して下さい。

勘定科目は、次の勘定科目を参考にして下さい。

 

現金 小口現金 現金過不足 当座預金 普通預金 受取手形 売掛金 前払金 立替金 貸付金 手形貸付金 未収入金 仮払金 未収利息 未収手数料 前払費用 繰越商品 建物 備品 土地

支払手形 買掛金 未払金 前受収益 前受金 仮受金 商品券 社会保険料預り金 所得税預り金 借入金 手形借入金 貸倒引当金 建物減価償却累計額 車両減価償却累計額 備品減価償却累計額 資本金

売上 受取利息 受取手数料 固定資産売却益 償却債権取立益 雑益

仕入 給料 広告宣伝費 旅費交通費 水道光熱費 保険料 通信費 消耗品費 発送費 租税公課 支払地代 貸倒損失 修繕費 支払利息 支払手数料 貸倒引当金繰入 減価償却費 雑損 固定資産売却損 損益

 

取引1

得意先長者ヶ崎商店に商品¥100,000(原価¥60,000)を売り上げ、代金のうち¥20,000は注文時に受け取った手付金と相殺し、残額は月末の受け取りとした。なお、商品の発送費用(先方負担)¥3,000を運送会社に現金で立替払いし、掛代金とは区別して計上した。

答えはこちら

仕訳

 

解説

いくつかのポイントを含んだ問題です。

まず、地味にポイントとなっているのが、商品の売却を三分法で記帳すれば良いのか分記法で記帳すれば良いのか、という点です。

「商品¥100,000を売り上げ」とだけ書かれていれば、悩まず三分法で、「売上」勘定を用いて記帳するのですが、「(原価¥60,000)」という記述が一瞬迷いを生じさせます。

つまり、分記法で「商品」勘定と「商品売却益」勘定を用いるのでは?という思いがよぎります。

しかし、冒頭の勘定科目一覧に「商品」勘定や「商品売却益」勘定は存在せず、「売上」勘定が存在しますので、三分法を採用して、つまり「売上」勘定を用いれば良いと判断できます。

 

次のポイントが売上諸掛りです。

商品の発送費用をどう処理するかということです。

売上諸掛りは当社が負担する場合は費用処理しますが、先方負担の場合は「売掛金」に含めて処理する方法と「立替金」で処理する方法とがあります。

本問の場合は「掛代金とは区別して計上」する旨記されているので、「立替金」として処理します。

 
関連投稿

仕入諸掛・売上諸掛・付随費用

仮受金・前受金・預り金の違い

 

 

取引2

取引銀行から短期資金として¥1,000,000を借り入れていたが、支払期日が到来したため、元利合計を当座預金から返済した。なお、借入にともなう利率は年1.2%、借入期間は当期中の9ヶ月であった。

答えはこちら

仕訳

 

解説

支払利息の額は次のように計算されます。

元本¥1,000,000 × 利率1.2%/年 × 借入期間 9ヶ月/12ヶ月 = 利息額¥9,000

 

関連投稿

借入金・手形借入金・支払利息・未払利息・前払利息をわかりやすく

 

 

取引3

一昨年度に購入した備品(パソコン)が故障したため、その修理費用として¥30,000を現金で支払った。

答えはこちら

仕訳

解説

この問題でのポイントは資本的支出と収益的支出の取り扱いです。

「資本的支出」は資産価値を高める資産的支出なので資産額に含めます。

一方、

「収益的支出」は資産の現状を維持するための費用的支出なので費用として計上します。

本問の場合は故障の修理費用ですので備品の現状を維持するための支出です。備品の価値を元の状態より高めるものではないので資本的支出ではありません。

 

 

取引4

得意先葉山商店から同店振出の小切手¥200,000が送付されてきたが、現時点でその内容は不明である。

答えはこちら

仕訳

 

解説

内容が不明な入金があった場合に「仮」に計上する際は「仮受金」という負債勘定科目を用います。

後に入金内容が明らかになった際に適切な科目に振り替えられます。

 

関連投稿

仮受金・前受金・預り金の違い

 

 

取引5

前期の売上により生じた売掛金¥100,000が貸し倒れた。なお、貸倒引当金の残高は¥90,000である。

 

答えはこちら

仕訳

 

解説

債権が貸し倒れになった場合は、貸倒引当金を設定している場合はまずそれを取り崩し、それでも不足する場合は「貸倒損失」勘定で処理します。

本問では貸倒引当金を¥90,000設定していますので、貸し倒れとなった¥100,000のうち¥90,000は貸倒引当金と相殺します。残額の¥10,000は貸倒損失となります。

 

関連投稿

貸倒引当金~もしも貸倒引当金が無かったら?

 

 

おわりに

今回の問題は日商簿記検定の第140回と第139回の第1問を参考に作成しました。

各設問の解説と共に関連投稿へのリンクも掲載しましたので、不安な論点については是非読み直していただければと思います。

それでは、引き続き頑張りましょう!

 

関連投稿

スマホで仕訳一問一答 Vol.13 日商簿記3級レベル〜手形借入金・付随費用・現金過不足・固定資産の期中売却・貸倒引当金

スマホで仕訳一問一答 Vol.11 日商簿記3級レベル

スマホで仕訳一問一答 Vol.10 日商簿記3級レベル

スマホで仕訳一問一答 Vol.9 日商簿記3級レベル

 

スマホで仕訳一問一答 Vol.8 日商簿記3級レベル

 

スマホで仕訳一問一答 Vol.7 日商簿記3級レベル

 

スマホで仕訳一問一答 Vol.6 日商簿記3級レベル

 

スマホで仕訳一問一答 Vol.3 日商簿記3級レベル

スマホで仕訳一問一答 Vol.2 日商簿記3級レベル

スマホで仕訳一問一答 Vol.1 日商簿記3級レベル

スマホで仕訳一問一答 Vol.0 日商簿記3級レベル

 

スマホで仕訳一問一答その他の問題集

 

仕入諸掛・売上諸掛・付随費用

仮受金・前受金・預り金の違い

借入金・手形借入金・支払利息・未払利息・前払利息をわかりやすく

貸倒引当金~もしも貸倒引当金が無かったら?

 

LINE登録

QRコード

LINE限定で簿記学習サポート記事をお届けします。

完全無料です。

 

QRコードでLINEの友だちを追加

 

 

スマホのQRコードリーダーで読み取っていただくか、

あるいは

LINEアプリを起動して、

[その他]タブの[友だち追加]でQRコードをスキャンします。

 

LINEで友達に追加後、簿記学習サポート記事をお送りします。

サポート記事の配信はブロックする事でいつでも配信解除できます。

 

サポーター講師:藤井すすむ

@798vhpej

フォローと「いいね!」

メールマガジン登録


あなたの簿記学習をサポートする情報をお届けします。

藤井すすむ 簿記2.0 完全無料メールマガジン

登録はこちら

フォローと「いいね!」



完全無料メールマガジンに登録する

SNSでもご購読できます。

ブログ統計情報

  • 335,409 アクセス

フォローと「いいね!」

最近の投稿: 藤井すすむ 簿記2.0 ~ 藤井すすむ式簿記解説 ~

簿記問題の読み間違い・ケアレスミスへの対策+簿記勉強法

みなさんこんにちは!藤井すすむです。   今回の投稿は   「簿記問題の読み落とし・読み間違い・ケアレスミスへの対策」   についての記事であると同時に   「簿記勉強法・簿記学力向上法」   についてご説明しています。 […]

でんさい とは? 電子記録債権・電子記録債務 簿記での仕訳・勘定科目

電子記録債権(債務)とは、電子債権記録機関(でんさいネット等)の記録原簿に債権(債務)発生の記録を行うことで発生する債権(債務)です。勘定科目や仕訳など、簿記での処理についてご説明します。

クレジット売掛金とクレカ会社への手数料の簿記仕訳をわかりやくすく

クレジット売掛金とクレカ会社への手数料の簿記仕訳をわかりやくすくご説明します。
なぜクレジットカード会社に手数料を支払うのでしょうか?
自分がクレカ決済を導入して何かを販売しする業務に関わっていないと解りにくい場合があるのではないかと思いましたのでまとめました。

私も読者様も3級満点合格!!

「藤井様のブログ、スマホで一問一答を勉強し、無事先月の簿記三級に満点合格出来ました。ありがとうございました」という嬉しい感謝のお言葉をいただきました。私も辛うじて満点合格できました。実際に受けてみて、皆さんと同じ緊張感を感じることができましたし、満点合格したことで簿記のことを伝えていくモチベーションが更に高まりました。

簿記のやりがい〜経理は経営管理の仕事を通じて会社のリーダーとしての役割が期待される

経理は会社のリーダーになれます。
短期的利益だけでなく長期的成長を考える経営マインドを持った経理が会社をリードしたら強いと思います。
簿記を勉強する先の話として、経理の役割、やりがい、オーナーシップ、リーダーシップについて書きました。

簿記資格って必要なの?実務と勉強はちがう?!

これから簿記を勉強しようと思っている簿記初学者や、資格試験を続けることに悩んでいる受験者に向けて「簿記・経理の知識は必要ですよ」というメッセージをまとめました。
1. 簿記3級の資格は仕事には必要か?という素朴な疑問
2. 実務と勉強は違うのか?
3.実務と勉強は違う、でもどっちも必要という事実
についてです。

簿記3級をとって良かった事〜Aさんのケース

経理部で働く20代後半女性Aさんがリアルに感じている「簿記を学んで良かったこと」を正直ベースのコメントでご紹介します。

試験の結果が全てではない理由

簿記の試験が終わり、燃え尽きている方もいるかもしれません。
でもここまで勉強し、試験にまで辿り着けた自分をまずは褒めてあげましょう!
3級の合格に必要な期間は2〜3ヶ月、100時間と言われていますが、
これは初学者の場合です。
2週目は格段に余裕が出てきます。諦めずに続けましょう。

諦めたらそこで試合終了

諦めなければ必ず合格できるのが簿記3級です。未経験からのスタートだったとしても諦めては駄目です。未経験で簿記3級の勉強をしていると、「自分には無理かもしれない」、「学生時代にやっていないから厳しい」と思う瞬間が何度もあるかもしれません。しかし、その時には「諦めたらそこで試合終了」と自分に言い聞かせましょう。

簿記を活かした就職 ~ 事業会社か会計事務所か

経理・会計系の労働市場は人手不足の状況にあるようです。
簿記を活かした就職 には会計事務所や一般企業の経理部など、いろいろな選択肢があります。
その就職先が提供する商品・サービスの価値や給与の額も考えて、色々な可能性を検討してみる事をお勧めします。

コメント

コメントをどうぞ

Follow by Email
YouTube
Instagram
にほんブログ村 資格ブログへ にほんブログ村 資格ブログ 簿記検定へ ブログランキング・にほんブログ村へ