預り金〜給与天引で生じる負債


みなさんこんにちは。

今日は「預り金」という勘定科目について見ていきましょう。

難しいんです、この勘定科目。

少なくとも過去の私にとってはとても難しかったです。

でも大丈夫です。

難しいと思う気持ちを理解している私だからこそ、わかりやすくご説明できると思います。

では何がどう難しいんでしょうか?

なぜ「預り金」は難しいと感じるのか?

私の場合、

まず、「預り金」という、とてもとても簡単そうな言葉の響きに甘んじて、真正面から攻略しようという気概が不足していました。

なのに、「預り金」という言葉から「お金を受け取る」というイメージを持ってしまっていました。何となく資産勘定の様な印象を持ってしまったんです。脳の中でそういう第一印象を消し去るのに時間がかかりました。(単に勉強不足ということですが。)

さらに、この科目、給料から税金や社会保険料を「天引き」するというケースで登場することが多く、その場面になかなか馴染めませんでした。

最初にうまく理解できた人にとっては、どこがどう難しいのか、逆に解らないかもしれませんが、そうでない人にとっては予想外の難関かもしれません。

ただ、難関といっても、期待とのギャップがあるというだけです。「楽そうに見えてそうでない」という意味で、難かしさを感じる、といった程度だと思いますので、一緒にゆっくり見ていきましょう。

そう。しっかり、ゆっくり時間をかければ大丈夫です。

預り金とは

預り金とは、

金銭を一時的に預かった時に生じる勘定科目で、後に支払う義務があるので負債科目です。

一番オーソドックスなケースは以下のケースです。

現金を預かった。後で支払う義務がある。

仕訳:

後で支払う先は(1)現金を預けた人の場合もありますし、(2)第三者である場合もあります。

(1)預り金を返す先が預けた人の場合の例としては、例えば不動産会社にとっての敷金のような場合があります。不動産会社は敷金を受け取りますが、後でそれは条件付きながら賃借人に返すべきお金なので収益とはならず、支払義務となる負債です。

この場合、仕訳は

となります。これはそんなに難しく無いですよね?

(敷金って100%返ってくるっけ?というところで引っかからないで下さいね。「100%返すべきもの」と捉えて下さい。)

むしろ、大事なのは(2)預り金を後日第三者に支払う場合です。

「預り金」勘定が登場するのは(1)のケースよりも(2)のケースが多いです。

それは、会社が従業員に給料を支払う際、給料の一部を預かっておき、それを差し引いた額を従業員に渡します。預かったお金はどうするかというと、後日税務署や社会保険事務所に支払います。

これはどの業種でも毎月発生する仕訳ですので、超重要と言って良いでしょう。

この仕訳を見てみましょう。

従業員に対する給料総額100円から源泉所得税10円と社会保険料10円を天引きし、残額の80円を現金で支給した。

仕訳

ここです、ポイントは。

この仕訳がスラスラ出てくれば大丈夫です。

難しく思わない人はクリアできていると思います。

過去の私のように。今ひとつしっくり来ていない人がいらっしゃるといけないのでわかりやすく説明を足していきますね。

給与天引き額が預り金になるイメージ

実際のお金の動きをは一致しませんが、上記の仕訳が出来上がる理由や意味を理解するために以下のような流れで考えてみましょう。

ステップ1

まず、会社は給料の全額を封筒に入れて従業員に渡すことを想定して下さい。

仕訳

ステップ2

従業員は、社会保険料や所得税を自分で払う代わりに会社にまとめて納付してもらうために、封筒から相当額を引き抜いて会社にお金を預けます。その時の会社側から見た仕訳はこうなります。

仕訳

この預り金は後日税務署と社会保険事務所に支払う義務です。

上記ステップ1とステップ2の仕訳を合算してまとめるとこうなります。

仕訳

会社がこの預り金を税務署や社会保険事務所に支払った時の仕訳はこうなります。

仕訳

これで出来上がりです。

「所得税預り金」と「社会保険料預り金」に分ける場合

ちなみに、この「預り金」勘定は所得税と社会保険料に分けて「所得税預り金」や「社会保険料預り金」という風に分けることもありますので問題文から判断して下さいね。

では「所得税預り金」と「社会保険料預り金」に分けたパターンの設例を見てみましょう。

従業員への給料の支払いにあたり、給与総額¥300,000のうち、本人負担の社会保険料¥20,000と、所得税の源泉徴収分¥15,000を差し引き、差額を現金で支払った。

仕訳

従業員の給料から源泉徴収していた所得税¥15,000を銀行において納付書とともに現金で納付した。

仕訳

おわりに

いかがでしたでしょうか?

他の教科書等では立替金などと一緒に説明されているケースが多いようですが、私自身が個人的に苦労した部分だったのでつい熱を込めて説明してしまいました。

ですが、わからなかった人にも理解できる説明になって入れば良いなと思います。

もし質問等ございましたらDMやコメント等でご連絡下さい。

よろしくお願いします。

 

関連投稿

仮受金・前受金・預り金の違い

LINE登録

QRコード

LINE限定で簿記学習サポート記事をお届けします。

完全無料です。

 

QRコードでLINEの友だちを追加

 

 

スマホのQRコードリーダーで読み取っていただくか、

あるいは

LINEアプリを起動して、

[その他]タブの[友だち追加]でQRコードをスキャンします。

 

LINEで友達に追加後、簿記学習サポート記事をお送りします。

サポート記事の配信はブロックする事でいつでも配信解除できます。

 

サポーター講師:藤井すすむ

@798vhpej

フォローと「いいね!」

メールマガジン登録


あなたの簿記学習をサポートする情報をお届けします。

藤井すすむ 簿記2.0 完全無料メールマガジン

登録はこちら

フォローと「いいね!」



完全無料メールマガジンに登録する

SNSでもご購読できます。

ブログ統計情報

  • 336,819 アクセス

フォローと「いいね!」

最近の投稿: 藤井すすむ 簿記2.0 ~ 藤井すすむ式簿記解説 ~

簿記問題の読み間違い・ケアレスミスへの対策+簿記勉強法

みなさんこんにちは!藤井すすむです。   今回の投稿は   「簿記問題の読み落とし・読み間違い・ケアレスミスへの対策」   についての記事であると同時に   「簿記勉強法・簿記学力向上法」   についてご説明しています。 […]

でんさい とは? 電子記録債権・電子記録債務 簿記での仕訳・勘定科目

電子記録債権(債務)とは、電子債権記録機関(でんさいネット等)の記録原簿に債権(債務)発生の記録を行うことで発生する債権(債務)です。勘定科目や仕訳など、簿記での処理についてご説明します。

クレジット売掛金とクレカ会社への手数料の簿記仕訳をわかりやくすく

クレジット売掛金とクレカ会社への手数料の簿記仕訳をわかりやくすくご説明します。
なぜクレジットカード会社に手数料を支払うのでしょうか?
自分がクレカ決済を導入して何かを販売しする業務に関わっていないと解りにくい場合があるのではないかと思いましたのでまとめました。

私も読者様も3級満点合格!!

「藤井様のブログ、スマホで一問一答を勉強し、無事先月の簿記三級に満点合格出来ました。ありがとうございました」という嬉しい感謝のお言葉をいただきました。私も辛うじて満点合格できました。実際に受けてみて、皆さんと同じ緊張感を感じることができましたし、満点合格したことで簿記のことを伝えていくモチベーションが更に高まりました。

簿記のやりがい〜経理は経営管理の仕事を通じて会社のリーダーとしての役割が期待される

経理は会社のリーダーになれます。
短期的利益だけでなく長期的成長を考える経営マインドを持った経理が会社をリードしたら強いと思います。
簿記を勉強する先の話として、経理の役割、やりがい、オーナーシップ、リーダーシップについて書きました。

簿記資格って必要なの?実務と勉強はちがう?!

これから簿記を勉強しようと思っている簿記初学者や、資格試験を続けることに悩んでいる受験者に向けて「簿記・経理の知識は必要ですよ」というメッセージをまとめました。
1. 簿記3級の資格は仕事には必要か?という素朴な疑問
2. 実務と勉強は違うのか?
3.実務と勉強は違う、でもどっちも必要という事実
についてです。

簿記3級をとって良かった事〜Aさんのケース

経理部で働く20代後半女性Aさんがリアルに感じている「簿記を学んで良かったこと」を正直ベースのコメントでご紹介します。

試験の結果が全てではない理由

簿記の試験が終わり、燃え尽きている方もいるかもしれません。
でもここまで勉強し、試験にまで辿り着けた自分をまずは褒めてあげましょう!
3級の合格に必要な期間は2〜3ヶ月、100時間と言われていますが、
これは初学者の場合です。
2週目は格段に余裕が出てきます。諦めずに続けましょう。

諦めたらそこで試合終了

諦めなければ必ず合格できるのが簿記3級です。未経験からのスタートだったとしても諦めては駄目です。未経験で簿記3級の勉強をしていると、「自分には無理かもしれない」、「学生時代にやっていないから厳しい」と思う瞬間が何度もあるかもしれません。しかし、その時には「諦めたらそこで試合終了」と自分に言い聞かせましょう。

簿記を活かした就職 ~ 事業会社か会計事務所か

経理・会計系の労働市場は人手不足の状況にあるようです。
簿記を活かした就職 には会計事務所や一般企業の経理部など、いろいろな選択肢があります。
その就職先が提供する商品・サービスの価値や給与の額も考えて、色々な可能性を検討してみる事をお勧めします。

コメント

コメントをどうぞ

Follow by Email
YouTube
Instagram
にほんブログ村 資格ブログへ にほんブログ村 資格ブログ 簿記検定へ ブログランキング・にほんブログ村へ