簿記の流れを外観5(総まとめ)〜手続全体を一巡

みなさんこんにちは!

 

前回の簿記一巡シリーズ第弾では、緑川レコードショップの1月・2月の取引を使って簿記の流れを一巡しました。

今回の第弾では、これまでのおさらいを兼ねつつ、総勘定元帳と合計試算表いう簿記のツールを導入し、いっそう丁寧に簿記の手続きをご説明したいと思います。

 

ステップバイステップ。

ちょっとずつ触れる項目を増やしつつ、無理なく簿記を身に付けて行きましょうね。

 

ではでは、1月1日に遡って緑川レコードショップの取引をもう一度見て行きましょう。

 

1月1日

緑川さんは自分でコツコツ貯めて来た100万円を緑川レコードショップ用の銀行口座に移し替え、ビジネスをスタートさせます。

 

仕訳

預金 100万円 / 資本金100万円

 

預金という資産の増加があり、その調達源泉は自己資本であった事が示されています。

この仕訳を細かく見て行きます。

左側に預金100万円、相手勘定は資本金となっています。

これは、

預金勘定の左側に100万円と記帳し、相手勘定科目名は資本金と記入する

という意味なのです。

 

やってみましょう。

預金

資本金

100

 

 

合計 100 合計  

もう一回仕訳に戻ります。

右側に資本金100万円、相手勘定は預金勘定となっています。

これは先ほどと同様に、

資本金勘定の右側に100万円と記帳し、

その際、相手勘定科目名を預金と記入する、

という意味です。

 

やってみましょう。

資本金
 

 

預金

100

合計   合計 100


これら二つの仕訳を反映した合計試算表は次のようになります。

合計試算表とは、総勘定元帳の各勘定科目の左側の合計額と右側の合計額を集計した表です。

合計試算表(単位:万円)

勘定科目
  現金  
100 預金  
  繰越商品  
  前払家賃  
  敷金  
  借入金  
  資本金 100
  売上  
  仕入  
  家賃  
  広告費  
100 合計 100

 

12

銀行からお金を200万円借り入れました。

仕訳

預金 200万円 / 借入金 200万円

 

預金という資産の増加があり、その調達源泉は借入金であった事が示されています。

左に預金200万円、相手勘定は借入金です。

先程と同じ様に読み換えると、

預金勘定の左側に200万円と記帳し、相手勘定として借入金と記入します。

同様に、

借入金勘定の右側に200万円と記帳し、相手勘定として預金と記入します。

預金

資本金

借入金

100

200

 

 

 

 

合計 300 合計  

 

借入金

 

 

預金

200

合計   合計 200

 

合計試算表(単位:万円)

勘定科目
  現金  
300 預金  
  繰越商品  
  前払家賃  
  敷金  
  借入金 200
  資本金 100
  売上  
  仕入  
  家賃  
  広告費  
300 合計 300

 

13

敷金 50万円と3ヶ月分の家賃60万円を支払い、店舗を借りた。

仕訳

敷金 50万円 / 預金 50万円

家賃 60万円 / 預金 60万円

 

敷金という資産と家賃という経費が増加し、その分預金という資産が減少しています。

敷金勘定の左側に相手勘定を預金として50万円を記入します。

家賃勘定の左側に相手勘定を預金として60万円を記入します。

預金勘定の右側に相手勘定を敷金として50万円家賃として60万円記入します。

敷金

預金

50

 

 

合計 50 合計  

 

家賃

預金

60

 

 

合計 60 合計  

 

預金

資本金

借入金

100

200

敷金

家賃

50

60

合計 300 合計 110

 

合計試算表(単位:万円)

勘定科目
  現金  
300 預金 110
  繰越商品  
  前払家賃  
50 敷金  
  借入金 200
  資本金 100
  売上  
  仕入  
60 家賃  
  広告費  
410 合計 410

 

14

レコードを90万円分仕入れた。

仕訳

仕入 90万円 / 預金 90万円

 

仕入という費用が増加し、預金という資産が減少しました。

仕入勘定の左側に相手勘定を預金として90万円を記入します。

預金勘定の左側に相手勘定を仕入として90万円を記入します。

 

仕入

預金

90

 

 

合計 90 合計  

 

預金

資本金

借入金

 

100

200

 

敷金

家賃

仕入

50

60

90

合計 300 合計 200

 

合計試算表(単位:万円)

勘定科目
  現金  
300 預金 200
  繰越商品  
  前払家賃  
50 敷金  
  借入金 200
  資本金 100
  売上  
90 仕入  
60 家賃  
  広告費  
500 合計 500

 

15

仕入れたレコードの3分の2(60万円相当)を120万円で売り上げた。

仕訳

現金 120万円 / 売上 120万円

 

現金という資産が増え、その源泉は売上です。

現金勘定の左側に相手勘定を売上として120万円を記入します。

売上勘定の右側に相手勘定を現金として120万円を記入します。

 

現金

売上

120

 

 

合計 120 合計  

 

売上
   

現金

120

合計   合計 120

 

合計試算表(単位:万円)

勘定科目
120 現金  
300 預金 200
  繰越商品  
  前払家賃  
50 敷金  
  借入金 200
  資本金 100
  売上 120
90 仕入  
60 家賃  
  広告費  
620 合計 620

 

1月31日

決算整理1

仕入れた金額90万円のうち、次期以降に売る商品を貸借対照表上で繰り越します。

仕訳

繰越商品 30万円 / 仕入 30万円

 

費用を減らし、資産として次期以降に繰り越します。

繰越商品勘定の左側に相手勘定を仕入として30万円を記入します。

仕入勘定の右側に相手勘定を繰越商品として30万円を記入します。

 

繰越商品

仕入

30

   
合計 30 合計  

 

仕入

預金

90

繰越商品

30

合計 90 合計 30

 

合計試算表(単位:万円)

勘定科目
120 現金  
300 預金 200
30 繰越商品  
  前払家賃  
50 敷金  
  借入金 200
  資本金 100
  売上 120
90 仕入 30
60 家賃  
  広告費  
650 合計 650

 

決算整理2

3ヶ月分払った家賃(60万円)の内、2ヶ月分(40万円とします)は次月以降のものなので、1月の費用からは差し引き、貸借対照表に置いておきます。

仕訳

前払家賃 40万円 / 家賃 40万円

 

費用を減らし、資産として次期以降に繰り越します。

 

前払家賃

家賃

40

 

 

合計 40 合計  

 

家賃

預金

60

前払家賃

40

合計 60 合計 40

 

合計試算表(単位:万円)

勘定科目
120 現金  
300 預金 200
30 繰越商品  
40 前払家賃  
50 敷金  
  借入金 200
  資本金 100
  売上 120
90 仕入 30
60 家賃 40
  広告費  
690 合計 690

 

ではここから2月の取引を始めます。

2月1日

まず最初に、1月末の決算整理繰り延べた繰越商品を仕入勘定に戻します。

仕訳

仕入 30万円 / 繰越商品 30万円

 

仕入

預金

90

繰越商品

30

繰越商品 30    
合計 120 合計 30

 

繰越商品

仕入

30    
    仕入 30 
合計 30 合計 30 


また、前払分として1月の損益計算書から貸借対照表に振り替えた前払家賃を家賃勘定に戻します。

仕訳

家賃 40万円 / 前払家賃 40万円

 

家賃

預金

60

前払家賃

40

前払家賃 40    
合計 100 合計 40

 

前払家賃

家賃

40

 

 

    家賃 40
合計 40 合計 40



合計試算表(単位:万円)

勘定科目
120 現金  
300 預金 200
30 繰越商品 30
40 前払家賃 40
50 敷金  
  借入金 200
  資本金 100
  売上 120
120 仕入 30
100 家賃 40
  広告費  
760 合計 760

 

2月は以下の取引を行います。

1、レコードを仕入れる

2、広告費を払う

3、レコードを売る

さて、それでは、ひとつひとつ見て行きましょう。

 

24

レコードを70万円分現金で仕入れた。

仕訳

仕入 70万円 / 現金 70万円

 

仕入

預金

90

繰越商品

30

繰越商品

現金

30

70

   
合計 190 合計 30

 

現金

売上

120

   
    仕入 70
合計 120 合計 70



25

広告費を40万円現金で支払った。

仕訳

広告費 40万円 / 現金 40万円

 

広告費
       
現金  40    
合計 40 合計  

 

現金

売上

120

   
   

仕入

広告費

70

40

合計 120 合計 110

 

2月6日

前月から繰り越したレコード(30万円)と当月仕入れたレコード(70万円)の半分(50万円相当)を100万円で売り上げた。

仕訳

現金 100万円 / 売上 100万円

 

現金

売上

120

   

 

 

 売上

 

 

100 

仕入

広告費

 

70

40

 

合計 220 合計 110

 

売上
   

現金

120

    現金 100
合計   合計 220

 

この時点の合計試算表はこうなります。

合計試算表(単位:万円)

勘定科目
220 現金 110
300 預金 200
30 繰越商品 30
40 前払家賃 40
50 敷金  
  借入金 200
  資本金 100
  売上 220
190 仕入 30
100 家賃 40
40 広告費  
970 合計 970

 

228日、月末になりました。

月次決算を行います。

ここからは決算整理です。

 

決算整理1

売れ残った商品50万円を繰越商品に振り替えます。

 

仕訳

繰越商品 50万円 / 仕入 50万円

 

繰越商品

仕入

30    

 

 仕入

 

50 

仕入

 

30

 

合計 80 合計 30 

 

仕入

預金

90

繰越商品

30

繰越商品

現金

 

30

70

 

 

 

繰越商品

 

 

50 

合計 190 合計 80

 

決算整理2

1月に3ヶ月分払った家賃(60万円)の内、翌月の1ヶ月分(20万円)を前払家賃として貸借対照表に置いておきます。

 

仕訳

前払家賃 20万円 / 家賃 20万円

 

前払家賃

家賃

40

 

 

 

家賃

 

20 

家賃

 

40

 

合計 60 合計 40

 

家賃

預金

60

前払家賃

40

前払家賃

 

40

 

 

前払家賃

 

20 

合計 100 合計 60

 

ここまでの取引を反映した合計試算表はこうなります。

 

合計試算表(単位:万円)

勘定科目
220 現金 110
300 預金 200
80 繰越商品 30
60 前払家賃 40
50 敷金  
  借入金 200
  資本金 100
  売上 220
190 仕入 80
100 家賃 60
40 広告費  
1040 合計 1040

 

ではここで、同じ科目について左右に数字がある場合はそれらをネットした数字だけを残します。

こうして出来るのが残高試算表です。

 

残高試算表(単位:万円)

資産

費用

勘定科目

資本

収益

110 現金  
100 預金  
50 繰越商品  
20 前払家賃  
50 敷金  
  借入金 200
  資本金 100
  売上 220
110 仕入  
40 家賃  
40 広告費  
520 合計 520

 

この残高試算表の各科目と金額を貸借対照表と損益計算書に書き写します。

なお、仕入勘定は売上原価を示しているので、損益計算書上「売上原価」と表記します。

 

貸借対照表(単位:万円)

228

資産 負債・資本

現金

預金

繰越商品

前払家賃

敷金

110

100

50

20

50

借入金

 

 

資本金

当期利益

200

 

 

100

30

合計 330 合計 330

損益計算書(単位:万円)

1月1日〜228

費用 収益

売上原価

家賃

広告費

当期利益

110

40

40

30

売上

 

 

 

220

 

 

 

合計 220 合計 220

 

ふぅ〜っ。。。

みなさんお疲れ様でした。

緑川レコードショップの2ヶ月間の取引を一気に駆け抜けましたね!

いやぁ〜、ここまで読んでくださった皆さんは凄いです。

勝ち取ったも同然です。

凄い進歩です!

 

繰越商品や前払費用として次期以降に費用を持ち越す処理に慣れていただけましたか?

 

また、今回は仕入勘定で売上原価が算出されていましたね。

 

 

今回の投稿を繰り返し読んでいただければ簿記一巡は概ね卒業と言って良いのでは無いでしょうか?

あとは個別の仕訳の問題ですので。

今後の勉強をグッと楽にするために、今回の投稿をしっかり把握しておいて下さいね。

繰り返し読んで、もしわからない事がありましたら是非コメントまたはメールお願いします。

 

本当にお疲れ様でした!

 

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