簿記の流れを概観 3 ~手続全体を一巡


みなさんこんにちは!

 

前回と前々回の投稿で簡単な設例で簿記の流れを一巡して来ました。

今日はその第3弾として、取引の数や種類を少しだけ増やしてみます。

とはいえ、一気に複雑にするのではなく、

簿記に馴れ親しみながら、少しづつレベルを上げて行く、という方針を貫いていきますのでご安心くださいね。

 

改めてこのスタディの目的を確認します。

簿記の手続をひと通り行ってみることで

簿記の全体像を把握すること。

これが目的です。

 

前回までの取引は次の3つだけでした。

1、資金を調達し、レコードショップを開始する

2、レコードを仕入れる

3、レコードを売る

 

今回はこれに以下を加えてみましょう。

 

まず、1の資金調達について、これまでは自己資本のみ、または借入金のみ、という単純化の仮定を置いていましたが、今回は自己資本と他人資本(借入金)のミックスにしてみます。

 

次に、店舗です。これまではフリーマーケットあるいは店舗無しのインターネット取引の様なイメージでしたが、今回は敷金と家賃を払って店舗(販売スペース)を借りる設定にします。

 

そして、商品の繰越です。前回までは仕入れた商品全てを売り切っていましたが、今回は敢えて商品が売れ残るケースを扱います。

 

また、前払家賃として次の期間の分の家賃を前払した場合の処理も見て行きます。

 

さて、それでは、ひとつひとつ見て行きましょう。

 

11

緑川さんは自分でコツコツ貯めて来た100万円を緑川レコードショップ用の銀行口座に移し替え、ビジネスをスタートさせます。

 

仕訳

預金 100万円 / 資本金100万円

 

この時点での貸借対照表はこうです。

貸借対照表

11

資産 資本
預金 100万円 資本金 100万円

 

12

銀行からお金を200万円借り入れました。

仕訳

預金 200万円 / 借入金 200万円

この時点での貸借対照表はこうです。

貸借対照表

12

資産 負債・資本

預金 300万円

 

借入金 200万円

資本金 100万円

 

13

敷金 50万円と3ヶ月分の家賃60万円を支払い、店舗を借りた。

仕訳

敷金 50万円 / 預金 110万円

家賃 60万円 / 

 

この時点の貸借対照表と損益計算書はこうなります。

貸借対照表 (13日)

資産 負債・資本

預金 190万円

敷金 50万円

借入金 200万円

資本金 100万円

 

損益計算書

費用 収益

家賃 60万円

 

 

貸借対照表と損益計算書、いずれも左右の金額に差がありますが、今は一旦そのまま進めます。

ただし、貸借対照表と損益計算書の両方を足せば左右の金額は一致しますよね。そこが重要です。

 

14

レコードを90万円分仕入れた。

 

仕訳

仕入 90万円 / 預金 90万円

 

この時点の貸借対照表と損益計算書はこうなります。

貸借対照表(14日)

資産 負債・資本

預金 100万円

敷金 50万円

借入金 200万円

資本金 100万円

 

損益計算書

費用 収益

仕入 90万円

家賃 60万円

 

 

15

仕入れたレコードの3分の2(60万円相当)を120万円で売り上げた。

 

仕訳

現金 120万円 / 売上 120万円

 

この時点の貸借対照表と損益計算書はこうなります。

貸借対照表(15日)

資産 負債・資本

現金 120万円

預金 100万円

敷金 50万円

借入金 200万円

 

資本金 100万円

 

損益計算書

費用 収益

仕入 90万円

家賃 60万円

売上 120万円

 

 

1月31日、月末になりました。

月次決算を行います。

ここからは決算整理です。

 

決算整理1

仕入れた金額90万円を売り上げた分(売上原価)と次期以降に売る商品(繰越商品)とに分けます。

 

仕訳

繰越商品 30万円 / 仕入 90万円

売上原価 60万円 /

 

この時点の貸借対照表と損益計算書はこうなります。

貸借対照表(131日)

資産 負債・資本

現金 120万円

預金 100万円

繰越商品30万円

敷金 50万円

借入金200万円

 

 

資本金 100万円

 

損益計算書

費用 収益

売上原価60万円

家賃 60万円

売上 120万円

 

 

決算整理2

3ヶ月分払った家賃(60万円)の内、2ヶ月分(40万円とします)は次月以降のものなので、1月の費用からは差し引き、貸借対照表に置いておきます。

 

仕訳

前払家賃 40万円 / 家賃 40万円

 

これらを反映した貸借対照表と損益計算書はこうなります。

貸借対照表(131日)

資産 負債・資本

現金 120万円

預金 100万円

繰越商品30万円

前払家賃40万円

敷金 50万円

借入金200万円

 

 

資本金100万円

当期利益40万円

(左右とも合計340万円)

 

損益計算書

費用 収益

売上原価60万円

家賃 20万円

当期利益40万円

売上 120万円

 

 

(左右とも合計120万円)

 

はい、取引はこれまでです。

如何でしたでしょうか?

 

会社を開始し、

お金を借り、

商品を仕入れ、

販売しました。

 

そして決算整理では、

売上原価を計算し、

繰越商品は費用から差し引いて次月以降に繰り越すために、資産の部に置きました。

そして家賃も当月使った分だけを損益計算書に残し、残りは次月以降のものとして資産の部に置きました。

 

どうでしょう?だいぶ進歩していますよ^^

もしわからない事がありましたらコメントまたはメールくださいね。

 

今回のブログは何回か読み直して慣れてくださいね。

そうすると今後の勉強がグッと楽になるはずです。

是非ともよろしくお願いします!!!

 

関連投稿

簿記の流れを概観 4 ~手続全体を一巡

LINE登録

QRコード

LINE限定で簿記学習サポート記事をお届けします。

完全無料です。

 

QRコードでLINEの友だちを追加

 

 

スマホのQRコードリーダーで読み取っていただくか、

あるいは

LINEアプリを起動して、

[その他]タブの[友だち追加]でQRコードをスキャンします。

 

LINEで友達に追加後、簿記学習サポート記事をお送りします。

サポート記事の配信はブロックする事でいつでも配信解除できます。

 

サポーター講師:藤井すすむ

@798vhpej

フォローと「いいね!」

メールマガジン登録


あなたの簿記学習をサポートする情報をお届けします。

藤井すすむ 簿記2.0 完全無料メールマガジン

登録はこちら

フォローと「いいね!」



完全無料メールマガジンに登録する

SNSでもご購読できます。

ブログ統計情報

  • 331,001 アクセス

フォローと「いいね!」

最近の投稿: 藤井すすむ 簿記2.0 ~ 藤井すすむ式簿記解説 ~

簿記問題の読み間違い・ケアレスミスへの対策+簿記勉強法

みなさんこんにちは!藤井すすむです。   今回の投稿は   「簿記問題の読み落とし・読み間違い・ケアレスミスへの対策」   についての記事であると同時に   「簿記勉強法・簿記学力向上法」   についてご説明しています。 […]

でんさい とは? 電子記録債権・電子記録債務 簿記での仕訳・勘定科目

電子記録債権(債務)とは、電子債権記録機関(でんさいネット等)の記録原簿に債権(債務)発生の記録を行うことで発生する債権(債務)です。勘定科目や仕訳など、簿記での処理についてご説明します。

クレジット売掛金とクレカ会社への手数料の簿記仕訳をわかりやくすく

クレジット売掛金とクレカ会社への手数料の簿記仕訳をわかりやくすくご説明します。
なぜクレジットカード会社に手数料を支払うのでしょうか?
自分がクレカ決済を導入して何かを販売しする業務に関わっていないと解りにくい場合があるのではないかと思いましたのでまとめました。

私も読者様も3級満点合格!!

「藤井様のブログ、スマホで一問一答を勉強し、無事先月の簿記三級に満点合格出来ました。ありがとうございました」という嬉しい感謝のお言葉をいただきました。私も辛うじて満点合格できました。実際に受けてみて、皆さんと同じ緊張感を感じることができましたし、満点合格したことで簿記のことを伝えていくモチベーションが更に高まりました。

簿記のやりがい〜経理は経営管理の仕事を通じて会社のリーダーとしての役割が期待される

経理は会社のリーダーになれます。
短期的利益だけでなく長期的成長を考える経営マインドを持った経理が会社をリードしたら強いと思います。
簿記を勉強する先の話として、経理の役割、やりがい、オーナーシップ、リーダーシップについて書きました。

簿記資格って必要なの?実務と勉強はちがう?!

これから簿記を勉強しようと思っている簿記初学者や、資格試験を続けることに悩んでいる受験者に向けて「簿記・経理の知識は必要ですよ」というメッセージをまとめました。
1. 簿記3級の資格は仕事には必要か?という素朴な疑問
2. 実務と勉強は違うのか?
3.実務と勉強は違う、でもどっちも必要という事実
についてです。

簿記3級をとって良かった事〜Aさんのケース

経理部で働く20代後半女性Aさんがリアルに感じている「簿記を学んで良かったこと」を正直ベースのコメントでご紹介します。

試験の結果が全てではない理由

簿記の試験が終わり、燃え尽きている方もいるかもしれません。
でもここまで勉強し、試験にまで辿り着けた自分をまずは褒めてあげましょう!
3級の合格に必要な期間は2〜3ヶ月、100時間と言われていますが、
これは初学者の場合です。
2週目は格段に余裕が出てきます。諦めずに続けましょう。

諦めたらそこで試合終了

諦めなければ必ず合格できるのが簿記3級です。未経験からのスタートだったとしても諦めては駄目です。未経験で簿記3級の勉強をしていると、「自分には無理かもしれない」、「学生時代にやっていないから厳しい」と思う瞬間が何度もあるかもしれません。しかし、その時には「諦めたらそこで試合終了」と自分に言い聞かせましょう。

簿記を活かした就職 ~ 事業会社か会計事務所か

経理・会計系の労働市場は人手不足の状況にあるようです。
簿記を活かした就職 には会計事務所や一般企業の経理部など、いろいろな選択肢があります。
その就職先が提供する商品・サービスの価値や給与の額も考えて、色々な可能性を検討してみる事をお勧めします。

コメント

コメントをどうぞ

Follow by Email
YouTube
Instagram
にほんブログ村 資格ブログへ にほんブログ村 資格ブログ 簿記検定へ ブログランキング・にほんブログ村へ