みなさんこんにちは!

今日は減価償却について見ていきましょう。

 

さて、

減価償却って何でしょうか?

その意義は何処にあるのでしょうか?

 

その問いに答えるには、

「もしも減価償却が無かったらどうなるか?」

と考えてみると良いでしょう。

 

というわけで、減価償却の無い世界を想像してみましょう。

 

減価償却の無い世界

今あなたは銀行の融資担当者で、赤沢運送株式会社(仮想の運送会社)にお金を融資するかどうか検討していると想定しましょう。

であれば、赤沢運送の貸借対照表や、経営成績である損益計算書を確認したくなりますよね?

 

赤沢運送の損益計算書を見たところ、直近4年の損益は以下の様に推移していました。

 

 X1年度 △80万円(赤字)

 X2年度   100万円(黒字)

 X3年度   100万円(黒字)

 X4年度 △80万円(赤字)

 

X1年度に80万円の赤字、その後利益を計上しましたが、直近の年度でまた赤字に転落しています。

 

業績が不安定な会社なのでしょうか?

直近の赤字転落は今後の業績悪化トレンドの始まりで、今後はもっと業績が悪化して行くのでしょうか?

 

あなたは不安になり赤字の原因を確認してみました。

 

すると、赤沢運送の社長からの答えはこうでした。

 

X1年度には180万円の運送用トラックを買いました。

それは当初の予定通り3年で老朽化したので処分しました。

その時の売却価額は0円でした。

X4年度にまた180万円で買いました。

これも同じく3年間使用する予定です」

 

ふむふむ、なるほど。悪い答えではなさそうだという感じはしてきました。

 

では、トラック購入代金を除いたベースでの利益額はどの様な状況か確認してみましょう。

利益から差し引いていたトラック購入代金180万円を足し戻します。

 

 X1年度  △80万円(赤字) +180万円(トラック代)=100万円(黒字)
 X2年度    100万円(黒字)
 X3年度    100万円(黒字)
 X4年度  △80万円(赤字) +180万円(トラック代)=100万円(黒字)

 

と、この様になりました。

ということは、各年の利益の変動要因はトラック購入代金のみで、それを除けば毎年100万円の利益で安定していたわけですね。

 

期間比較可能性の確保

各年の利益の推移を見て損益トレンドを見たい、というニーズはいろいろな場面でありますので、会計期間どうしの比較をしやすくする必要があります。

 

そもそも、180万円のトラックは3年使える見込みで、実際に予定通り3年間使用しているのですから、X1年度やX4年度だけの費用にするのはいかがなものでしょうか?

3年使用するなら180万円を3年で割って、1年あたり60万円の費用とした方が理に適っていると思いませんか?

 

そういう風にやってみましょう。

 

トラック代金以外の利益は毎年100万円の黒字でした。

ここからトラック費用(毎年60万円)を差し引きます。

 

 X1年度  100万円(黒字) − 60万円(トラック費用) = 40万円(黒字)
 X2年度  100万円(黒字) − 60万円(トラック費用) = 40万円(黒字)
 X3年度  100万円(黒字) − 60万円(トラック費用) = 40万円(黒字)
 X4年度  100万円(黒字) − 60万円(トラック費用) = 40万円(黒字)

 

というわけで、トラックの費用を差し引いても、毎年40万円の利益で安定していることがわかりました。

 

最初に赤沢運送から提示された損益計算書に比べたら、こちらの方が断然、会社の状況が解りやすいと思いませんか?

 

これこそが減価償却の意義なのです。

 

減価償却の意義

複数年にまたがって使用する資産の費用化額を使用見込み年数に渡って配分することで、費用の期間配分が適正になり、会計期間の比較可能性が高まります。

 

 

減価償却の計算・仕訳(間接法)

購入価額180万円のトラックについて耐用年数3年、残存価額0円と想定される場合、(180万円 – 0円)/3年=60万円/年 が各年の減価償却費ということです。

(定額法を前提)

 

では取引と仕訳を見てみましょう。

 

X1年度 年初にトラックを現金で買いました。

一旦資産計上します。

X1年度末 減価償却費を計上します。

X2年度末 減価償却費を計上します。

X3年度末 減価償却費を計上し、車両を処分した。

(車両の帳簿残高は0円で処分価額も0円と想定します。)

X4年度 年初にトラックを現金で買いました。

X4年度末 減価償却費を計上します。

以上のような仕訳になります。

簿記3級で出題される間接法についてご説明しました。

間接法によれば、減価償却費相当分を資産勘定(車両勘定)から直接減額(直接法)する代わりに、資産のマイナスを表す「減価償却累計額」という勘定を用います。

 

いまや簿記3級では直接法は出題されない様なので、この間接法をしっかりマスターしてくださいね。

 

ちなみに直接法とは、減価償却累計額勘定を用いる代わりに車両勘定を減額させる方法です。

 

おわりに

今日は減価償却の意義、基本的な計算方法をご説明いたしました。

減価償却についてはもうちょっとご説明したいことがあるので、

また別の投稿「減価償却(その2)〜固定資産の期中購入・売却」で続きを書かせていただきます。

 

それでは今日はこの辺で。

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サポーター講師:藤井すすむ

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