簿記のやりがい〜経理は経営管理の仕事を通じて会社のリーダーとしての役割が期待される

経理がしっかりした会社は強い

経理の仕事って、何となくイメージ的に「地味」って感じてしまう方も多いでしょう。

どちらかというと、会社の裏方、サポート部門、バックオフィスという捉え方をされがちです。

仕事をとってくる営業が花形で、経理は裏方、という・・・。

 

ところが、私はこの”経理裏方論”に真っ向から反対の考え方を持っています。

まず、経理がいないと会社は回りません。

そして、経理がしっかりした会社は強いです。

さらに、経理部門はその動き方によっては会社経営をリードします。

 

「経理が強い」といえば、こんな経理部もあります。

経理が利益を重視するあまり、経費削減を一方向的に徹底し、初期投資コストの掛かる新規顧客開拓やプロジェクト投資を抑制してしまう、というパターンです。

しかし、こういった方針でやっていると、当年度の利益には寄与するものの、中長期的な見地からは必ずしも得策とは言えない場合もあります。

利益と成長、両者のバランスを取ることを忘れてしまって、経費使用に対して態度を硬化するばかりの経理ならば、それは私が言おうとしている「経理がしっかりした会社」とは異なります。

 

経理は会社をリードできる

例えば経理部門は、精緻な実績分析に基づく見積もりや予測シミュレーションを行うことで、良い経営計画の策定に寄与できます。

経営計画を立てるセクションと現場部門との間に立って、両者のコミュニケーションに数字の面から付加価値を与える役割を担うのです。

経営計画は常に100%実現されるわけではありません。

計画していたこととは全然違う内容で成功を収める場合もあります。

ですが、具体的な数字に裏付けられた良い計画を立て、それを社内に周知させることで、全社一丸となって同じ目標に邁進できる様になります。

目標や計画の変更が必要だという意見が出れば、それを皆で同じ土俵に立って検討します。

そういう経営計画の策定やトラッキング、アップデート、変更、改善といったPlan・Do・Seeサイクルに経理がしっかり噛んでいくと、その会社はグッと強くなります。

なので、経理は「縁の下の力持ち」どころか、会社の「リーダー」として活躍することが期待されます。

 

人が動く手前には信頼がある

もちろん、経理だけがリーダーなわけではありません。

組織図上はまず社長がリーダーですし、色んな本部の役員等もリーダーです。

ですが、彼らは経理が数値情報を提供しない限りそのリーダーシップを本当の意味で十分に発揮することができません。

経理は会社のリーダー達が見据えている方向性をしっかり理解して、彼らと同じ頭とマインドで会社経営のホットなKPI(各種経営指標)を伝わりやすい形で数字にまとめ、グラフにまとめ、資料にストーリーを吹き込んで提供します。

要するに、経理は社長の片腕ですよ。本当に。

数字のことは細かい話になりますし、正確な議論が必要ですから、経理部長だけでなく、担当者も重要な会議に駆り出されることがあるでしょう。

そんな時にはチャンスと捉え、十分な調査をして良い情報提供をしてあげてください。

社長も他の役員さんも一目置くこと間違いなしです。

そういうところで信頼感を勝ち得ると、後日個別に電話やメールが来て、

「お忙しいところすみませんが、〇〇の数字の推移をおしえてもらえますか?」とか、

「あまりに基礎的な質問で恥ずかしいんだけど、XXについて一時間くらいでレクチャーしてもらえないかな?」という風に、個別の依頼を受けることもあるでしょう。

そんな時は是非柔軟に対応してあげて欲しいです。

会社の社長や役員、あるいは他部門の方と親しく話す時間を持った後は、コミュニケーションの質がグンと上がります。

 

信頼を得る手前には伝わる資料がある

数字って、文脈無しにただ伝えれば、ただの数字に羅列になってしまって、伝わるべき内容も伝わらないことがよくあります。

しかし、言いたいこと、伝えたいことをかしこまらずにサラッと伝え合える関係になると、いろいろな補足情報を加えやすいので、数字の伝達力が格段に上がるんです。

そういった意味で、経理はコミュニケーション力が大事です。

そしてそのコミュニケーション力は何も喋りがうまいとか、そういうことから生まれるのではありません。

自分が数字を理解していること。

そして会社の方向性や経営陣の関心事を理解していること。

さらに、それら数字を会社経営に役立つ指標として情報の受け手に合わせた伝え方・まとめ方、見せ方をする、ということです。

それにより、なるべく喋らずとも見ただけで伝わる資料を目指します。

そういう資料があなたと経営陣の間にあれば、自然と有意義な会話が生まれてきます。

そして経営陣の心の中には「ありがとう」という気持ちが湧いてくるでしょう。

あなたは「信頼」を勝ちとることができるのです。

 

良い資料の手前には人の役に立とうという姿勢がある

こんな話を聞くと、私のポジションは経営陣と話すことはまずない、という人もいるでしょう。

でも、あなたが集計している数字には必ず読者がいます。

直接じゃなく、間接的な場合もあります。

そして、普段は大きな枠で捉えられている数字が、時にドリルダウンされ、細かく分析されるタイミングがあります。

何か数字に異常や問題が感じられて分析される場合もあるでしょうし、会社の経営をよりよくするために特定の分野にフォーカスが当たって分析が深まる場合もあります。

そんな時、相手が別に社長や役員じゃなかったとしても一生懸命協力してあげたいですよね。

「この人は会社を良くするために力を尽くしてくれる人だ」という評判は自然と伝わるものです。

毎年の人事評価でも、他部門の部長が「経理部門の○○さんはXXの案件で尽力してくれた」とか、そういう情報が飛び交っているものです。

 

それに、何より自分が実務をやっていて面白いじゃないですか。

自分の仕事を自分のものと考えられること。

「オーナーシップ」なんていいますが、そういうことです。

ポジションにかかわらず、誰でもリーダーシップを発揮できるんです。

リーダーって、誰かに命令する権限を持った人のことをいうんじゃないんです。

 

そうではなくて、他者に影響を与え、他者を巻き込み、問題や取り組んでいる物事を良い方向に導くことができる人のことをリーダーといいます。

また、リーダーシップと言っているのは、必ずしも先頭に立って引っ張る事ではありません。

むしろ、関係者とコラボレーションのマインドを持って、同じ立ち位置で、丁寧に、親切に、情報や考えを聞いたり、伝えたりすることの繰り返しです。そこに「偉そうな」雰囲気は一切ありません。

 

あなたにとっての日々の経理業務や簿記をあなた自身がキチンと咀嚼し、人に伝えられるように練習することで、あなたの仕事は輝きを増すことになるでしょう。

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サポーター講師:藤井すすむ

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