経過勘定~収益・費用の繰り延べ・見越し計上

みなさんこんにちは!

今日は経過勘定についてお話しします。

経過勘定の種類(4つ)

経過勘定には4つあります。

前払費用、前受収益、未払費用、未収収益の4つです。

 

ザックリ4つの定義を見てみるとこんな感じです。

(今はザッとで良いですよ。)

 

前払費用 

費用の前払い分を翌期に繰り延べるもの

前受収益 

収益の前受け分を翌期に繰り延べるもの

未払費用 

費用の未払い分を当期に見越し計上するもの

未収収益 

収益の未収分を当期に見越し計上するもの

 

・・・う~む、わかった様なわからない様な、という感じですよね。

 

ではそれぞれ一つずつ見ていきましょう。

 

前払費用

まずは前払費用です。

例えば12,000円の費用を支払ましたが、この内9,000円は翌期の費用だったとします。当期の費用は3,000円だけです。

この場合、当期の損益計算書には3,000円だけを計上したいので、翌期の費用9,000円は当期の費用から引っこ抜きます。

 

引っこ抜いた9,000円をどこに持っていくか?

それが前払費用という勘定です。

前払費用 9,000 / 費用 9,000

 

以上が概略です。

 

前払保険料の例

では、保険料という費用を例に取ってもう少し細かく見ましょう。

 

例えば店舗の火災に備えて火災保険を掛けたとします。

保険料の支払い方法は向こう一年分を一括で支払うとしましょう。

 

当社の会計期間は1月1日から12月31日の1年間ですが、10月1日に向こう1年分の保険料を支払いました。金額は12,000円です。

 

この12,000円は、1年間、つまり、10月1日から翌年の9月30日までのものですから、10月から12月までの3ヶ月分は当期分ですが、1月から9月までの9ヶ月分は翌期分です。

月割りで計算すると、当期分は3,000円です。

(=12,000円X3ヶ月/12ヶ月)

そして、翌期分は9,000円ですね。

(=12,000円X9ヶ月/12ヶ月)

 

当期の損益計算書には当期の費用のみ計上すべきです。

しかし、今、保険料勘定(左側)には12,000円計上されています。

そこで、翌期分の9,000円を保険料勘定から差し引きます。

つまり、保険料勘定の右側に9,000円を計上します。

そうすると、保険料勘定の残高はネットで3,000円(左側残)になりますよね。

当期発生分だけになりました。

 

しかし、ちょっと待ってください。

差し引いた翌期分9,000円はどこに行きますか?

仕訳を考えて見ましょう。9,000円を引っこ抜くということは、

( ?  )9,000円 / 保険料 9,000円

という仕訳を切る必要があります。

 

上記(   ?  )内に入るのが、

そう、経過勘定のひとつ、前払費用です。

 

損益計算書から引っこ抜いた状態で試算表の左右の金額を一致させるためには、試算表の左側で費用じゃないもの、そう、貸借対照表の資産に持って行くしかないのです。翌期以降の費用となる前払費用は資産の一科目なのです。

(貸借対照表ってこんな風に、翌期以降の損益となるものを一時的に置いておく場所として利用されるんですよ。。。)

 

前払費用 9,000円 / 保険料 9,000円

 

こうなります。そして、費用の内容に応じて通常は勘定科目名も細分化されます。「前払保険料」、「前払家賃」といったようにです。なのでこの場合は、

 

前払保険料 9,000円 / 保険料 9,000円

 

となります。

 

ちなみに、前払保険料として資産の部に置かれ、繰り越された分9,000円は翌期のものですから、翌期の始めに保険料勘定に戻されます。

 

だってそうですよね?

翌期になったら費用になるんですから、資産から費用に振り戻されます。

 

翌期の1月1日の仕訳

保険料 9,000円 / 前払保険料 9,000円

この仕訳で資産に計上されていた前払保険料は消えて、その分費用である保険料が9,000円増えます。

 

翌期の10月1日にまた新たな1年間の保険料(例えば24,000円)を払ったとします。

 

そうしたら、年末にはまた翌期の9ヶ月分=24,000円X9ヶ月/12ヶ月=18,000円は前払費用として繰り延べます。

 

前払保険料 18,000円 / 保険料 18,000円

 

ここで、前払保険料勘定と費用である保険料勘定を見てみましょう。

 

つまり、前払費用とは、費用の前払い分を翌期の費用とすべく繰り延べるために用いる資産勘定です。

 

経過勘定の定義

ここで、前払費用、前受収益、未払費用、未収収益の4つを包括する概念として、経過勘定の定義を考えてみます。

経過勘定とは、

損益計算書上に計上する収益・費用が当期発生分になる様に調整する際に必要となる反対勘定で、貸借対照表に計上される。

もうちょっと短くしてみると、こんな感じになるでしょうか。

経過勘定とは、

当期発生の収益・費用を損益計算書に計上するための貸借対照表勘定

とまとめられますね。

 

前受収益

では次に、前受収益について見てみましょう。

前受収益とは、収益の前受け分を翌期に繰り延べるものでした。

 

受取手数料1,200円は全額当期の11月1日に向こう1年分の手数料を受け取ったものであるため、前受額を月割りで翌期に繰り延べる。

という問題を想定しましょう。

 

当期末は12月31日とします。

そうすると、当期分は11月と12月の2カ月分=1,200円X2ヶ月/12ヶ月=200円です。

そして、翌期分は1,200円X10ヶ月/12ヶ月=1,000円です。

この翌期分1,000円を当期の収益から引っこ抜いて翌期に繰り延べるため貸借対照表上の右側、負債の部に計上します。

 

受取手数料 1,000 / 前受手数料 1,000

 

未払費用

続いて、未払費用です。

未払費用とは、費用の未払い分を当期に見越し計上するものでした。

 

今、支払家賃勘定に1,100,000円計上されているとします。

しかし、これは1月から11月までの11ヶ月分であり、12月分はまだ支払っていないものとします。

しかし、12月分も当期の費用として発生しているため、1ヶ月分見越し計上します。

1ヶ月分の金額は1,100,000円÷11ヶ月=100,000円です。

 

支払家賃 100,000 / 未払家賃 100,000

 

未収収益

最後に未収収益です。

未収利息を計算して計上する問題を参考にしてみましょう。

貸付金1,200,000円は、当期の9月1日に期間12ヶ月、利率2%(利息は返済時に全額受け取り)の条件で貸し付けたものである。利息の計算は月割によるものとする。12月31日の決算整理にあたり、未収利息を計上せよ。

 

9月から12月までの4ヶ月分が、当期に発生しているにもかかわらず未収となっている分です。

1年間の利息は1,200,000円X2%=24,000円

4ヶ月分の利息は24,000円X4ヶ月/12ヶ月=8,000円

 

未収利息 8,000 / 受取利息 8,000

 

未収利息は貸借対照表の左側、つまり資産勘定です。

 

最後に

如何でしょうか?

経過勘定に関する問題はほぼ確実に出題されますので必ずマスターしておきたいですね。

 

それでは今日はこの辺で!

 

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