スマホで仕訳一問一答 Vol.13 日商簿記3級レベル〜手形借入金・付随費用・現金過不足・固定資産の期中売却・貸倒引当金


スマホで仕訳一問一答シリーズは主に日商簿記3級検定試験の第1問の対策を想定して作成してきました。

なぜならば、第一問は仕訳問題なので一問一答形式でスキマ時間に勉強するのにとても向いているからです。

しかしそれだけではありません。第一問の仕訳問題を広く勉強することで、第2問から第5問までの解答力も同時にアップするからです。

今回Vol.13に達しましたが、これまでの投稿内容を身につければ少なくとも第1問に関しては良質の準備ができていると言って良いと感じています。

第2問以降の対策という意味では、補助帳簿や精算表、試算表、財務諸表を作成する練習が必要ですが、その前提となる仕訳はこれまでの一問一答で勉強していただけます。書き込み作業のみ時間と場所を割いて取り組んでいただければ効率的に合格に近づいて行きます。

 

さてさて、では問題に移りましょう。

解説の直後に関連投稿をレイアウトしましたので、もし十分マスター出来ていないと感じる項目があれば関連投稿の解説にもしっかり目を通していただければと思います。

数値については引き続き、電卓なしでも何とかなる様な数字を用いて問題作成しています。

では、よろしくお願いします。

 

問題

下記の取引について仕訳して下さい。

勘定科目は、次の勘定科目を参考にして下さい。

 

現金 小口現金 現金過不足 当座預金 普通預金 受取手形 売掛金 前払金 貸付金 手形貸付金 未収入金 仮払金 未収利息 未収手数料 前払費用 繰越商品 建物 備品 土地

支払手形 買掛金 未払金 前受収益 仮受金 商品券 社会保険料預り金 所得税預り金 借入金 手形借入金 貸倒引当金 建物減価償却累計額 車両減価償却累計額 備品減価償却累計額 資本金

売上 受取利息 受取手数料 固定資産売却益 償却債権取立益 雑益

仕入 給料 広告宣伝費 旅費交通費 水道光熱費 保険料 通信費 消耗品費 発送費 租税公課 支払地代 貸倒損失 修繕費 支払利息 支払手数料 貸倒引当金繰入 減価償却費 雑損 固定資産売却損 損益

 

取引1

銀行より¥2,000,000を借り入れ、同額の約束手形を振り出し、利息¥100,000を差し引かれた残額が普通預金口座に振り込まれた。

答えはこちら

仕訳

 

解説

手形借入金についての問題です。

問題文に、借り入れに際して「同額の約束手形を振り出し」ていることが記されています。借用証書に代えて手形を振り出している場合、「手形借入金」勘定を用いて処理します。

それ以外は通常の借入金と異なる点はありません。

なお、本問では利息を差し引いた残額を受け取っているのでその点に注意が必要です。

借入時点で支払利息勘定で利息額¥100,000を処理し、残額の¥1,90,000を普通預金勘定で処理します。

 
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取引2

出店用の土地100㎡を1㎡あたり¥50,000で購入し、購入手数料¥150,000を含む代金の全額を後日支払うこととした。また、この土地の整地費用¥100,000を現金で支払った。

答えはこちら

仕訳

 

解説

購入した固定資産の取得価額には、原則として、その資産の購入代価とその資産を事業の用に供するために直接要した費用が含まれます。

また、引取運賃、荷役費、運送保険料、購入手数料、関税などその資産の購入のために要した費用も含まれます。

購入代価は以下の通り¥5,000,000と計算されます。

購入代価 = 面積100㎡ × 単価¥50,000/㎡ = ¥5,000,000

これに購入手数料¥150,000を足した¥5,150,000は後日払いです。

 

販売用商品の後日払いは「買掛金」勘定で処理されますが、それ以外の後日払いは「未払金」勘定で処理します。

よって右側(貸方)には未払金¥5,150,000が計上されます。

 

また、購入手数料¥150,000も整地費用¥100,000も、この土地を使用できる状態にするために支払った付随費用ですので取得原価に含めます。

取得原価 = 購入代金¥5,000,000 + 購入手数料¥150,000 + 整地費用¥100,000 = ¥5,250,000

整地費用¥100,000の相手勘定は現金での支払いですから右側(貸方)に現金¥100,000です。

これらをまとめると解答の仕訳になります。

 

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取引3

金庫を実査したところ、硬貨¥10,000、紙幣¥10,000、得意先振り出しの小切手¥10,000、送金小切手¥10,000、郵便為替証書¥10,000、約束手形¥10,000、郵便切手¥10,000、収入印紙¥10,000が保管されていたが、現金出納帳の残高は¥40,000であった。不一致の原因を調べたが原因は判明しなかったので、現金過不足勘定で処理することにした。

 

答えはこちら

仕訳

解説

簿記で現金勘定に含まれるのは通貨通貨代用証券です。

通貨

・硬貨

・紙幣

通貨代用証券

・得意先振り出しの小切手

・送金小切手

・郵便為替証書

=金融機関ですぐに現金に替えられるもの

 

さて、本問で登場したもののうち、現金紙幣硬貨得意先振り出しの小切手、送金小切手、郵便為替証書の合計¥50,000でした。

その他は以下の通りです:

約束手形=受取手形

郵便切手=貯蔵品

収入印紙=貯蔵品

 

現金の実際の有高が¥50,000、帳簿残高が¥40,000ですので、「帳簿残高」を「実際の有高」に合わせます

なので、現金勘定を¥10,000増額し、¥50,000にします。

その際、相手勘定を現金過不足勘定で処理します。

 

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取引4

昨年7月5日に購入した備品(取得原価¥1,200,000、残存価額ゼロ、耐用年数10年、定額法で計算、間接法で記帳)が不要になったので、本日(6月20日)¥1,200,000で売却し、代金は翌月末に受け取ることにした。なお、決算日は12月31日とし、減価償却費は月割りで計算する。

答えはこちら

仕訳

 

解説

まず、期首時点の減価償却累計額は昨年の7月から12月までの6ヶ月分で、以下の通り計算されます:

¥1,200,000 × 6ヶ月(7月〜12月)/120ヶ月(10年) = ¥60,000

 

次に、当期の減価償却費は1月から6月までの6ヶ月分で、同様に¥60,000と計算されます:

¥1,200,000 × 6ヶ月(1月〜6月)/120ヶ月(10年) = ¥60,000

 

したがって、売却時点での払出簿価は以下の通り計算されます:

¥1,200,000 – ¥60,000 – ¥60,000 = ¥1,080,000

 

これをそれよりも高額の¥1,200,000で売却していますので、差額は固定資産売却益となります:

¥1,200,000 – ¥1,080,000 = ¥120,000 (=固定資産売却益)

 

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取引5

決算にあたり、売掛金と受取手形の期末残高合計額¥2,000,000に対して1%の貸倒引当金を差額補充法により設定する。なお、決算整理前の貸倒引当金残高は¥15,000である。

 

答えはこちら

仕訳

 

解説

貸倒引当金をいくら設定すれば良いかというと、残高¥2,000,000の1%ですから¥20,000となります:

¥2,000,000 × 1% = ¥20,000

本問では差額補充法を採用している旨記載があります。

差額補充法とは、貸倒引当金要設定額と設定前の貸倒引当金残高の差額を繰り入れる方法です。つまり、差額である要補充額は次の通り計算されます:

貸倒引当金要設定額¥20,000 – 設定前の貸倒引当金残高¥15,000 = 差額(要補充額)¥5,000

 

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おわりに

今回の問題は日商簿記検定の第139回の第1問とその他の過去問からの頻出問題を参考に作成しました。

Vol.13まで、ひとまずお疲れ様でした。

投稿はまだまだ続きますので引き続きよろしくお願いします。

 

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